白紙ソート

就活ログ1

初めての面接は都内の某社だった。
あまりに早く着きすぎて近くの公園をうろついていた。
季節は春、これから面接でなければさぞ気分は良かっただろうに。
私は気分を落ち着かせるために好きな音楽を聴いていた。
メロディアスな楽曲に、特徴のあるアルトボイス。
私が好きな同人サークルの曲。
しかしその後3年ぐらい、その歌は嫌な記憶をフラッシュバックさせるトリガーになってしまった。

時間になったので某社に入る。
担当の女性社員が案内してくれて会議室で待つことになった。
緊張で喉が渇いていたが、この部屋で飲んでいいものか逡巡し、結局飲めなかった。
しばらくして先ほどの女性社員が現れて面接会場へ案内される。
エレベーターに乗ったとき、緊張をほぐすためか話しかけられた。
昼食は食べたかと聞かれたのでカロリーメイトを食べたと答えた。
なぜこんなことを聞くのだろうと訝ったが、どうやら私の前に面接に来た人が緊張からか吐いてしまったらしい。
そりゃ警戒もするだろう。

面接会場の前に着き、私はドアをノックして名前を告げる。
入室許可が出たのでドアを開けると、なんと視界には4人もの面接官がいるではないか。
おまけに部屋はだだっ広く(おそらく大会議室)、面接官の座るテーブルと私が座るイスとの間には1メートルほどの距離があった。
離れた場所から4人に注視されるなど経験したこともない。
これは全くの想定外だったので、ただでさえ緊張していた私はガチガチになってしまった。
面接内容はもう覚えていない。
ただひとつ分かるのはひどい受け答えだったということぐらいだ。
質問が終わった後、イスから立ち上がろうとしてふらついてしまい、面接官から心配されるありさまだった。
部屋を出た後、某社の入り口まで案内される途中に、女性社員に成果を聞かれたので適当にごまかす。
失意と恐怖を抱え、それでも経験のなさゆえの浅はかな希望を感じつつ、私の初面接は終わった。

結果?当然お祈りだ。
とはいえ、ある程度予測はしていたのでそれほどの落胆は感じなかった。
面接で落ちたショックはかなり大きいとの事前情報を入手していたため、
「間違いなく落ちる」と自己暗示をかけていたこともショックを和らげた。
私は気持ちを切り替えて次の企業研究を始めた。
何回かやっていけばいつか通る、まだそんな明るい展望を描いていた。
だがこのときの私は知らない。
その後8か月にわたって続く就活地獄を――。

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